2010年12月30日木曜日

シェイクスピアについて僕らが知りえたすべてのこと =★★★=

ビル ブライソン (著), Bill Bryson (原著), 小田島 則子 (翻訳), 小田島 恒志 (翻訳)/日本放送出版協会
ショーエクスピアの戯曲は多く残っているが、シェークスピアがどのような人物だったかという記録はほとんど残っていないらしい。様々な憶測が飛び交っているので、実際にわかっていることをまとめた本という位置づけ。
結局よくわからないことが多いということがわかるだけであるが、16世紀から17世紀にかけてのイギリスの時代背景や庶民の様子を知ることができ、興味深い。
作家のことは知られなくても、作品がこれだけ長く秀作として伝えられ、舞台で演じられ続けているわけであるから作家にとって本望だと思う。

2010年12月27日月曜日

ローマ人の物語〈15〉パクス・ロマーナ(中) =★★★=

塩野 七生 (著)/新潮社
アウグストゥス45歳から57歳にかけての平和ローマ帝国の統治の様子である。
少子対策、区画整理、軍縮など様々な改革を着実に実行する優れた政治家という印象だ。
ただ、ゲルマン民族の制覇を目指す過程で、アグリッパ、マエケナス、およびドゥルーススの死が次々と重なり、ティベリウスも離反してしまうという試練の時期を迎えることになる。

人間を『死すべき者』と呼ぶ、非宗教的、非哲学的なローマ人の死生観についての記述が興味深かった。

2010年12月17日金曜日

ジュリアス・シーザー =★★★=

シェイクスピア (著), 福田 恒存 (翻訳)/新潮社
『ローマ人の物語』に触発されて本書を読んでみた。登場人物名が英語読みなので、『ローマ人・・』とは異なっていて違和感があったが、だいたい結び付けることはできた。
シーザー(カエサル)暗殺をテーマに書かれたものなので、主人公は暗殺者のブルータスである。ブルータスの苦悩と誠実さがよく表現されている。
シェークスピアの作品の中ではそれほど評価の高い作品ではないが、17世紀のイギリスでローマ帝国についての感心の高さがよくわかり興味深い。

2010年12月15日水曜日

ローマ人の物語〈14〉パクス・ロマーナ(上) =★★★★=

塩野 七生 (著)/新潮社
終身独裁官カエサルが共和制復古を期待する直接元老院派の権力を削減していった方法と異なり、アウグストゥス(オクタヴィアヌス)元老院派と協調しながら終身護民官となることで実質の支配者となり、着実に帝政の基礎を固めていく。老獪な戦略家である。
また、権力を掌握するだけでなく、平和が訪れたローマを安定成長路線に乗せていくことを目指して、政治、経済、軍隊統率、属州統治、食料問題などさまざまな分野で長期的な改革を行っていく。結構真面目な初代皇帝なのであった。

2010年12月13日月曜日

ガラパゴス化する日本 =★★=

吉川 尚宏 (著)/講談社
日本で作られる商品やサービスが、世界規格から外れて日本独自の規格の中で進化することで、対外競争力を失っている状態をガラパゴス化と呼んでいる。また、商品やサービスだけでなく、日本人自体もガラパゴス化して外に出ることに臆病になっていると警告を発する。
ゲーム理論に則って、規格の採用に関する戦略の立て方を解説しているが、このようなことは当然日本の企業は考えて合理的判断を下した結果現状のようになっているのだと思う。
文化や言葉の壁もガラパゴス化を引き起こす原因となっているだろうし、役所の産業保護の政策も世界標準化への妨げとなってきたことも事実であろう。
ただ、世界との距離が縮まり、あらゆる商品やサービス、情報が行き来する時代の流れで、各企業、各人とも生き残るためにガラパゴス化から脱却する術を自然に見つけ出していくのではないかという楽観的な希望をもつのは不自然なのだろうか。(敢えて警告する必要あるのだろうか?)

2010年12月9日木曜日

ローマ人の物語〈13〉ユリウス・カエサル―ルビコン以後(下) =★★★★=

塩野 七生 (著)/新潮社
カエサルが暗殺され、アントニウスとオクタヴィアヌスの後継者争いが始まる。
二人が一時的に手を組んだ『第二次三頭政治』で、カエサルの望まなかった反カエサル派への粛清が行われたのは残念である。長く脇役を演じてきたキケロもここで殺されてしまう。
その後、エジプト女王クレオパトラと組むアントニウスが敗れてオクタヴィアヌスの時代となる。
カエサルに対しては好意的に書いてきた筆者が、クレオパトラに対しては辛らつに批評するところは興味深い。
シェークスピアを読みたくなった。

2010年12月7日火曜日

ローマ人の物語〈12〉ユリウス・カエサル―ルビコン以後(中) =★★★★=

塩野 七生 (著)/新潮社
終身独裁官となったカエサルは、当初の構想通り元老院の力を弱め、帝政の礎を築いていく。政治、経済の両面から巨大化したローマを統治する方法として最善と考えた方向性だったのだろう。
反カエサル派の人々を排除することなく、改革を推し進める独自のスタイルが興味深い。著者は寛容、合理主義と表現しているが、人生に悟りを開き、自信に満ち溢れていた人間だったのではないか。
JULY(7月)はユリウスだったんだ!

2010年12月2日木曜日

わが子を伸ばす四大必須科目「音読」「作文」「暗算」「焚き火」 =★★=

松永 暢史 (著)/飛鳥新社
家庭教師のプロが、子供の育て方を教示。
「音読」「作文」「暗算」「焚き火」が子供にとって大切と力説するが、具体性、説得力にはやや欠ける。
受験勉強に関しては、いかに効率よく合格最低ラインに到達するかというゲームと捉えているところは面白い。(同感である)

2010年12月1日水曜日

ローマ人の物語〈11〉ユリウス・カエサル―ルビコン以後(上) =★★★★=

塩野 七生 (著)/新潮社
ルビコン川を越えたカエサルがローマに戻ってきて実権を掌握する。
ローマからギリシャへ退散したポンペイウスと元老院派議員を追い、ファルサルス会戦において数で勝るポンペイウス軍に圧勝してしまう。カエサルのリーダーとしての迅速な決断力と行動力が際立った。
また、ローマ人同士の戦いなので、極力犠牲者を出さない解決策を探ったり、反対勢力への粛清は行わないなど、マリウスやスッラのやり方とは異なる度量の大きさを見ることができる。
エジプトに逃げたかつての英雄ポンペイウスのあっけない死は何とも寂しいものだった。