2011年3月29日火曜日

ビジネスマンの父より息子への30通の手紙 =★★★★=

G.キングスレイ ウォード (著), G.Kingsley Ward (著), 城山 三郎 (翻訳)/新潮社
企業の創業者が跡継ぎとなる自分の息子に向けてアドバイスを手紙の形で送ったもの。
自ら培ってきたビジネスのノウハウを、文章の形式で伝えるというのは興味深く、また近親者故に面と向かって忠告するより効果的ではないかと思った。
内容としては、人を大切にする心、欲張らず堅実な経営が印象的。
ただ、プライベートな素行まで注意されるこの息子は、はたして経営者としてうまくいったのだろうかという疑問は残った。

2011年3月24日木曜日

空気の教育 =★★★=

外山 滋比古 (著)/筑摩書房
家庭や学校の環境のことを『空気』と呼び、子供たちに与える影響について書いたエッセイ集。
親が子供たちに伝えるものは”ことば”であり、家庭環境(=空気)を作るのも”ことば”であると強調。

現在の家庭環境は子供を甘やかす環境となっていることを憂えている。
試練を与えることが子供の成長に必要という点は共感できる。
やや昔の教育環境の方がよかったという論調の傾向があるため、時代が違うから仕方ない部分もあるじゃないかと違和感を感じる部分もある。

2011年3月22日火曜日

目利きのヒミツ =★★★=

赤瀬川 原平 (著)/光文社
ややこだわり派の著者が、その道に秀でている人の感性の鋭さを”目利き”と称して紹介する。というか雑談するエッセイ。
最終章の『真贋の奥に見える生きもの』は、”目利き”とは全く逆にホンモノとニセモノの違いの曖昧さ、人間の主観の大切さというものを語っていて面白い。

2011年3月18日金曜日

西洋哲学史―近代から現代へ =★★★=

熊野 純彦 (著)/岩波書店
近代になると、それまでタブーだった神の存在批判が出てくる。また、現代にかけて、自然科学と人間の関係や、存在の有無など、わけのかわからない領域に入ってくる。
いったい哲学自体何なんだろう?

2011年3月16日水曜日

職場は感情で変わる =★★★★=

高橋 克徳 (著)/講談社
職場の感情とは、職場のメンバーが共通して持つ感情のことである。
この共通の感情をよい方向に持っていくことによって、仕事の効率を高めると共に、メンバーの精神状態もよくすることができるというもの。
人間の感情が脆いのと同様、職場のよい感情を全体で維持していくには、それなりの努力が必要である。リーダーの意識の持ち方、部下への働きかけ方が重要となろう。

2011年3月11日金曜日

そうか、君は課長になったのか。 =★★★★=

佐々木 常夫 (著)/WAVE出版
初めて課長職に就く人に向けて、自らの体験をもとにアドバイスを送るというコンセプト。
課長の要求される仕事は下記4点と謳う。
・課の方針策定
・部下の監督と成長
・経営と現場のコミュニケーション
・社内外の政治
プレーヤーとマネージャーは仕事の内容にかなりの違いがあることがわかる。
自分も管理職になるにあたって本書を読んだわけだが、自分なりの『志』をしっかり持つことの重要性を教えられた気がする。

2011年3月10日木曜日

ローマ人の物語〈23〉危機と克服〈下〉 =★★★★=

塩野 七生 (著)/新潮社
ヴェスパシアヌスの後、ティトゥスが若死にし、弟のドミティアヌスへ皇帝の座が移る。
15年の在位の後暗殺され、記録抹殺刑という処分を受けたため、ドミティアヌスの統治についての詳しい資料は少ないらしく、本書での扱いもあまり深い部分には入れていない。
帝国の基盤を固める政策はまじめに行っていた皇帝なので、処罰を受けるにはよほど敵を多く作ったのだろう。
ネロ死後の皇帝位争いに、ローマ人同士の血を流す戦いを経験していたので、ドミティアヌス暗殺後は穏便に皇帝のバトンタッチが行われていく。

2011年3月9日水曜日

ローマ人の物語〈22〉危機と克服(中) =★★★★=

塩野 七生 (著)/新潮社
皇帝位争いの終止符を打つのがヴェスパシアヌスである。騎士階級出身だが軍隊のたたき上げで出世し、皇帝にまで上り詰める。じっくりとものごとを進める冷静さや人柄のよさを持ち合わせていたらしい。また、ムキアヌスという有能な参謀を持てたことも幸運だったようだ。
ローマを舞台にしたローマ人同士の戦いを終わらせるには、敵を許すという寛大な対応が効果があったといえる。

2011年3月8日火曜日

決定版 はじめてのリーダーズノート =★★★★=

石野 誠一 (著)/明日香出版社
小規模な組織のリーダーが部下とどのように接し、指導していくべきかを説いた指南書。
会社の経営について書かれた本より具体性があるように思う。
特に、第1講『これからリーダーになるひとへ』がリーダーとして肝がすわるための考え方が書かれていて、たいへん参考になった。

2011年2月24日木曜日

ローマ人の物語〈21〉危機と克服〈上〉 =★★★★=

塩野 七生 (著)/新潮社
アウグストゥスの血を引く皇帝はネロが最後となり、皇帝位の争いが始まる。
ガルバ、オトー、ヴィテリウスと短期政権が続き、ローマ市内も戦場と化してしまう。
権力の集中する帝政にあっては、皇帝自信の能力も秀でていないと統治できないということである。
日本の戦国時代と似ているように思える。

2011年2月23日水曜日

CIA 失敗の研究 =★★★=

落合 浩太郎 (著)/文藝春秋
冷戦時代が終わると共に、米国諜報機関CIAの存在意義が不明確になり、抱えることになった様々な問題を指摘する書。
内的には、官僚主義の体質が能力の低下を招いていると指摘する。
外的には、近年の大統領および政府が諜報活動の意義を理解しておらず、政治の道具と化している。
また、9.11の同時多発テロを未然に防げなかった失敗は、CIAの能力低下、および政府のテロに対する警戒心の低さにあったと論じている。

2011年2月17日木曜日

ローマ人の物語〈20〉悪名高き皇帝たち(4) =★★★★=

塩野 七生 (著)/新潮社
キリスト教徒からは最も敵とされている暴君ネロの登場。
ただ、キリスト教徒を迫害したのは、ローマの大火災の犯人に仕立てた一回のみと意外と少ない。
また、悪政ばかりでなく、善政も行っているので本書を読む前のイメージとは異なった。
ナイーブな性格故に逆境に弱く、暴挙に出てしまうのである。
14年間の統治の後、30歳で自死に追い込まれる。
皇帝の器ではなかったということであろう。

本シリーズは『悪名高き皇帝たち』となっているが、その後長期に亘る帝政ローマの安定化には貢献したと言えよう。ただ、皇帝一人に権力が集中する仕組みにしては、バランスの欠ける部分を持った人たちだったということであろう。

2011年2月10日木曜日

西洋哲学史―古代から中世へ =★★★=

熊野 純彦 (著)/岩波書店
古代から中世にかけての西洋哲学の変遷をまとめたもの。
存在のある、なしや自然、神などがテーマとなっている。
著者が、哲学者の使った文章をできるだけ多く引用しようと努力してるので、表面だけの解説より実感は沸くのだが、逆に素人にとっては理解に苦しむ部分も多い。
古代ローマ史を読んでいる最中なので、キケロ、フェロン、セネカなどが登場する部分は興味深かった。

2011年2月8日火曜日

ローマ人の物語〈19〉悪名高き皇帝たち(3) =★★★★=

塩野 七生 (著)/新潮社
悪名高きカリグラが暗殺され、急遽五十代で皇帝に抜擢されたクラウディウスが財政再建、外交安定化と統治秩序の回復に努める。后には恵まれず、市民からも軽く見られていたようだが、実直にパクス・ロマーナの維持に貢献し、著者からは好意的に描かれている。
最後には后・小アグリッピーナに毒殺され、皇帝の座も連れ子のネロへわたることになるのが少し残念な結末である。もう少し回りへ気遣いをする性格なら違う展開だったかもしれないが。。

2011年2月4日金曜日

ぼくらの頭脳の鍛え方 =★★★★=

立花 隆・佐藤 優 (著) /文藝春秋
立花氏と佐藤氏による推薦の新書・文庫本の紹介を、対談形式で行っている。著者らのこだわりの強い、哲学、宗教、政治、思想、教育などの談話が盛り上がり、少々取っ付き辛い書籍を次々と紹介している。
様々な分野の知識をバランスが偏ることなく習得するために、ここで紹介されている書籍を読んでいってみようと思った。

2011年2月2日水曜日

ホンモノ探し―人生が豊かになる小道具 =★★★★=

鳥海 忠 (著) /光文社
自分の中のホンモノと思えるものを探求して究極のモノに出会った喜びを、著者は『完璧と思う商品と接して、思い煩うことから解放されて自由になる』と表現している。
庶民の金銭感覚で語られていて、本書で紹介される種々のホンモノは少し高価だが少し背伸びをして手に入れることのできそうなモノである。また、永く自分の生活で使うという視点から、定番と呼ばれる歴史のあるモノを選択している点も共感できる。

2011年1月25日火曜日

ローマ人の物語〈18〉悪名高き皇帝たち(2) =★★★★=

塩野 七生 (著)/新潮社
ティベリウス時代末期になると、権力へ野望を抱く側近セイアヌスを処刑するとともに、元老院議員の反対勢力を粛清する。これがティベリウスを悪名高き皇帝としたのであろうが、筆者はあくまでも堅実にローマ帝国を統治したティベリウスを擁護する立場である。
アクグストゥスの曾孫カリグラが24歳の若さで3代皇帝に就く。カリグラは悪政を繰り返し、わずか4年で暗殺される。賢帝が続かないのはいつの世も同じである。

2011年1月24日月曜日

外国人投資家が日本株を買う条件 =★★★=

菊地 正俊 (著, 編集) /日本経済新聞出版社
外国人投資家が日本株のどのような点に着目して投資しているかを解説。
特にここ数年の市場環境を交えて、日本株が敬遠されていた理由や、これから見直される可能性について客観的に書かれているので読みやすい。
後半は外国人投資家の説明がつらつらと書かれているが、あまり読む気がしなかった。

2011年1月22日土曜日

新参者 =★★★★=

東野 圭吾 (著)/講談社
人間模様を描くエピソードを多く交えているところが普通のミステリー小説と異なる。
殺人事件の解決というミステリー部分は各エピソードをつなぐための材料という軽めの位置づけとなっている。
人と人の絆を人への思いやりの気持ちで表現しているため、読み手の心が温まる。
東野圭吾作品を本で読むのはこれが初めてだが、人気の理由がわかった気がする。

2011年1月20日木曜日

ローマ人の物語〈17〉悪名高き皇帝たち(1) =★★★★=

塩野 七生 (著)/新潮社
題名が『悪名高き皇帝たち』とあるが、これは過去の歴史家の評価である。著者は、彼らの皇帝としての統治能力を客観的に見てみようという立場で書いているところが面白い。
本書はアウグストゥスを継いだ2代皇帝ティベリウスである。派手さはなく、民衆からの人気も高いわけではいが、堅実な統治で帝国全体の安定化路線を確実なものにしていく。ストイックな生活の様子も著者は高く評価しているようだ。
都市のインフラに限らず、政治・法律・軍事などは適切なメンテナンスや時代に応じた修正が必要であり、それらを税金を上げることなく緊縮財政の中着実に実行する姿は有能な政治家として好感が持てる。

2011年1月19日水曜日

トレードオフ―上質をとるか、手軽をとるか =★★★★=

ケビン・メイニー(著) (著), ジム・コリンズ(序文) (著), 内田和成(解説) (著), 有賀裕子 (翻訳)/プレジデント社
企業が競争に打ち勝って生き延びて行くためには、その提供する商品やサービスが消費者・利用者にとって上質なものであるか、または手軽であるかのどちらかひとつであり、両方を提供することを目指してはいけない、と説く。
言い換えれば、ブランド力のあるものはそれだけで付加価値があるため、それを守る努力をすべきであるし、ブランド力のないものは、価格や利便性の優位を保つ方向に進むべきということである。
インターネット社会になり、情報が平等に伝わりやすい世の中になってきている現在、消費者の動向はより明確になり、中途半端な戦略の企業は淘汰されていくことが予想される。

2011年1月12日水曜日

ビジョナリー・カンパニー ― 時代を超える生存の原則 =★★★★=

ジェームズ・C. コリンズ (著), ジェリー・I. ポラス (著), 山岡 洋一 (翻訳)/日経BP社
長期間成長し、存続し続ける企業になるためには、カリスマ経営者が必要な訳ではなく、しっかりとした企業理念とそれを社員に植え付ける教育制度や企業風土が必要である。
変異して環境に適応したものが生き残っていく生物の進化と同じように、企業も多角化や研究開発に力を入れ、新しい製品を作り続けることが生き残り、成長につながる。

最初は成功した企業の事例集かと思ったが、少し違った。
上記のような企業がすべて成功するわけではないが、その努力を怠った企業は成長できなくなる可能性が高いということだろう。

2011年1月11日火曜日

天地明察 =★★★★=

冲方 丁 (著)/角川書店
数学や天文学にも長けた囲碁棋士である青年・渋川春海が二十年もかけて改暦を成し遂げるまでの苦難の道が描かれている。春海の学問に対する純粋さ、若者らしいまっすぐさが読み手をすがすがしい気持ちにさせてくれる。
和算で有名な関孝和や、囲碁の天才・本因坊道策らが登場し、彼らの時代背景を楽しむこともできる。

2011年1月7日金曜日

ビジネス・ツイッター 世界の企業を変えた140文字の会話メディア =★★★=

シェル・イスラエル (著), 林信行(解説) (監修), 滑川海彦 (翻訳), 前田博明 (翻訳)/日経BP社
ツイッターは個人の情報交換に便利なツールというだけでなく、ビジネスへの活用事例が多く載せられている。
ビジネスに活用することが目的であっても、人(読み手)の心をとらえるためには、発言者の個性を打ち出すことが大切であると著者は訴えている。
パーティー会場などで互いの関心事が共通する仲間を見つけて話し合う様子に似ているという感想。話し手が人を引きつけるにはどうしたらよいか、また人の発言を聞いてあげる態度はどうあるべきか等、人と人のコミュニケーションの基本が大切であることを再認識した。

2011年1月5日水曜日

能率手帳の流儀 =★★★★=

野口 晴巳 (著)/日本能率協会マネジメントセンター
日本能率協会の社長が、自身の手帳活用術を処世訓を交えながら紹介。
印象に残った点
・手帳には大きな計画や目標を掲げるのではなく、小さな具体的な目標を書き、達成できたら自分で褒めて達成感を味わう。
・書いて、読み返して、考える習慣づけのために手帳を活用。
・アイデアを引き出すために手帳を見返し、人よりひとつでも多く案を作る。
・隙間時間を活用。読書も同じ。
能率手帳については最後にわずかのページで紹介しているだけで奥ゆかしい。(だが、『能率手帳ゴールド』がとても欲しくなった。)

2011年1月4日火曜日

ローマ人の物語〈16〉パクス・ロマーナ(下) =★★★=

塩野 七生 (著)/新潮社
アウグストゥス晩年である。血縁者を後継者としたいアウグストゥスであったが、道が閉ざされていき、離反していたティベリウスを呼び返し、後継者とすることで仕事を終える。
カエサルのような派手さはないが、ローマ帝国の繁栄を長期化する基礎を築いた初代皇帝を筆者は比較的好意的に描いているように思う。